この冬、最大の寒波といわれた本日、スナダマンこと社長が、去年お墓を建立されたお施主のお父さまのご納骨に立ち会いました。
そこで、お施主のご家族に、このような質問をされたそうです。
-「お墓のロウソク立ては、なぜ3つなのですか?」
その問いに、先代の父から教わっていたとおりに、こう答えたそうです。
「過去、現在、未来をあらわしているからです」
え?そうだったの?
聞いたことあるような気もするけど、わたくし、これまでそんな大切なことをスルーしていました…。
「だって親父がそう言っていたから、オレはずっとお客さまにそう伝えているよ」
香炉の大きさ、カタチにもよるので、必ずしもロウソク立てが3つ付いているものばかりではないのですが、可能であればそのようにしているとのこと。
最近では一対になっているものも多く、一対のロウソク立てと線香立てが一つの計3つ、というものも多いです。
また、「たくさんお参りに来るので、たくさんつけて欲しい」といったご要望にお応えして、5つのロウソク立てをお付けしたこともあります。
3つのロウソク立てが、ほんとうに「過去、現在、未来」を意味するのかどうかは分からないのですが、夫が先代の父親から伝え聞いてきたことを、お客さまにお伝えしている。それこそが、この仕事の大事な部分なのではないかと思ったのです。
お墓をつないでいくということは、こういった親から子へ伝え残す言葉だったり、想いだったり、ストーリーだったりが、お墓というモノをとおして、伝わっていくことでもあります。
施主さまが、うちの夫の言葉を次の代の方に伝えていったとしましょう。
それは、先代の父の言葉が、夫からお客さまへ、さらに世代を超えて伝わったことを意味し、夫はカタチとしてだけでなく、精神的な意味で仕事を継いだといえます(無意識だったとしても)。
先代の父が息子に伝えた言葉は、どこかの住職に聞いた話だったのかもしれません。話の出所がどこであろうと、その言葉を信じ、そしてそれが伝わっていく。これは、今読んでいる「サピエンス全史」に書いてあることにも通じます。
この本では、人類がどうしてここまで進化したのかについて、こう説明しています。
❝ホモ・サピエンスが世界を征服できたのは、何よりも、その比類なき言語のおかげではないだろうか。❞
(サピエンス全史 第一章 唯一生き延びた人類種 より)
その言葉を使って、目に見えない虚構(フィクション)を伝えるようになり、想像力をはぐくみ、さらにそれを集団でやってのけたことで、今のわたしたちがあるというのです。
目に見えるものに、見えないものを見る力。
今回の場合であれば、3本のロウソクの灯りに「過去、現在、未来」を見ようとする力。(そういえば、火を使えるようになったことも人類の転機であった)
わたしたちが発展してきたのは、まさにその力のおかげであり、それを集団でできたことで、神や仏が生まれ、帝国ができ、さらには国境を越え、グローバルで意思疎通して協力できるようになったのです。
今日のエピソードに、人類の発展の証拠と、それを可視化できたような感覚をおぼえたのは、たんなる偶然なのでしょうか。
人類は7万年以上前から、言葉を使って、想像し、それを伝えるために、偶像などのカタチあるものを作ってきました。
お墓は、亡き人の住処であるだけでなく、それをとおして物語やエピソード、言葉を伝えられるように、人間が本能的に作ってきたものである。そんなふうに捉えると、また新しい世界がみえてくると思いませんか。
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