お墓を「直感」と「感性」で語る時代へ

毎年、お正月休みになると、普段以上に「本が読みたい…」「映画が見たい…」と、まるで砂漠で水をもとめるかのように、インプット欲が高まります。
それも、できればまったく未知の世界のものを読みたくなるのですが、今回読もうと決めたのは、ベストセラーになったこの2冊。


実を言うと、左の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を読了したばかりで、右の「サピエンス全史・上」は、昨日やっと手をつけたばかりです(笑)

そして今日は、読了したばかりの山口周さんの本を下敷きに、「私(たち)」と「お墓業界」について考えていこうと思います。

ロジカルシンキングが生む弊害

本書で立てられている問い、それは、『経営に「美意識」が必要になってきた』ということ。そう考えるにいたった要因として、3つの大きな変化をあげています。

  1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
  2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
  3. システムの変化にルールが追いついていない

今回は主に、「1.」について考察していきます。

「論理的・理性的な情報処理スキル」とは、「分析」「論理」「理性」のことで、「数字で計測」でき、「説明可能」であり、「再現性がある」ことで、副題にもなっている経営における「サイエンス」を指しています。
しかし、皆がこのサイエンスの重要性を知り、それに比重を置くようになった結果、どういうことが起きているかというと…。

今日、多くのビジネスパーソンが、論理的な思考力、理性的な判断力を高めるために努力しているわけですが、そのような努力の行き着く先は「他の人と同じ答えが出せる」という終着駅、レッドオーシャンでしかありません。(「論理」と「理性」に頼る問題点②差別化の喪失 より)

レッドオーシャンとは「激戦市場」のことで(反対語は「ブルーオーシャン」)、多くの企業はこのレッドオーシャンを勝ち抜くために必死になっているのですが、サイエンス、いわゆるロジカルシンキングに偏っていると、遅かれ早かれ淘汰されていくというのです。

これについてはすごく納得です。
私が仕事でブログを書くようになって数年経った頃(7、8年前くらい)は、「墓石の機能性(スペック)」を発信するほうが役立ち、私のような職人でもない女性の情緒的な発信はレベルが低いと思われていた節がありました。

しかし、墓石のスペックは、論理的に説明でき、再現できる以上、いずれ高付加価値ではなくなり、汎用化します。
だから、最近ではおそらく、そういった情報の価値は、相対的に低くなってきているように感じます。

「アート」と「サイエンス」と「クラフト」のバランスが重要

本書は、経営というものは『「アート」と「サイエンス」と「クラフト」の混ざり合ったものだ』というヘンリー・ミンツバーグの指摘に沿った内容になっているのですが、墓石店というのは職人の世界であるので、まさに「クラフト」がモノを言う業界といえます
「クラフト」は職人的な技術だけでなく、地に足のついた経験や知識といった蓄積されてきたものも意味し、私はそういった意味では、職人の世界に嫁いだ、まったく経験のない「NOクラフト」な存在だったわけです(笑)

私たちの業界に限らず、日本には「クラフト」色が濃い企業が多くありますが、「クラフト型」だけでは、経験に根ざしたことだけを認め、新しいことにはチャレンジしないため、イノベーションが停滞してしまいます。
また、「サイエンス型」だけでは、数値で証明できない取り組みは全て却下されてしまうため、ビジネスから人間味が失われ、ワクワクするようなビジョンは生まれにくい。
論理的かつ理性的な答えは、訓練を受けた人であれば遅かれ早かれ誰でも到達するので、その市場はやがて競合が乱立するレッドオーシャンとなり、そこで戦うためにはひたすらスピードとコストを武器にして、従業員を疲弊していくしかない。これが、現在、多くの日本企業の陥っている状況で、現在のビジネスでは過度に「サイエンス」と「クラフト」が重視されています。
「クラフト」と「サイエンス」には共通項があり、それはどちらも「説明(言語化)」できる点で、アカウンタビリティを求められる現代の企業は、これらに偏ってしまうのです。

そして、私たちの業界も『「クラフト型」に「サイエンス型」を加えた新しいガバナンス』が正しいという空気感が蔓延し、創造性を発揮する「アート」はないがしろにされ、それは他の衰退産業にも同じ側面があるのではないかと思います。

「アート」は、感性や直感、哲学といった美意識に直結し、主観的であるため、「クラフト」と「サイエンス」にくらべると説明することがむずかしい部分がありますが、美のモノサシは簡単にパクることができません。
そして、最初にあげた3つの要因を超えていくために、リーダーこそが「美意識」を兼ね備える必要があるというのです。

その証に、たぐい稀な革新を成し遂げた企業の多くは、強烈なビジョンを掲げてアートで組織を牽引するトップを、サイエンスやクラフトの面で強みを持つ側近たちが支える構造を持っています。

この点で参考になるのが、「侘茶 わびちゃ」の完成者である千利休と織田信長や豊臣秀吉といった権力者の関係だと、筆者はいいます。

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