墓地で墓石クリーニングの施工をしていると、墓そうじにやって来た人に、「よ!お仲間さん」みたいな感じで声をかけられることがあります。
「あんちゃんは、何使って(墓そうじを)やっとるがけ?」(←何を使ってやっているの?の意)
「あ、僕はこれ仕事でやってるんですよ」
「あ~、そんながけ!そしたら企業秘密やね(笑)」
「なら、お先に~」と、まるで銭湯で隣り合った人のように、この時期の墓石クリーニングの仕事では、こうした一期一会の出会いがあります(笑)
「墓石クリーニング」は「墓そうじ」とは違う
「墓石クリーニング」をはじめた頃にくらべると、だいぶ認知されてきましたが、それでもいまだに、シルバー人材がおこなっている「墓そうじ代行」と比較して高いといわれる場合があります。
まず、シルバー人材の墓そうじ代行というのは、皆さんがお盆やお彼岸前に家の墓そうじをするものの「代行」にすぎません。 特別な機械や薬をつかうわけではなく、墓石を手で拭く簡易的な作業に、敷地内の草むしりや掃き掃除が付加されているもの、が一般的です。
「墓のこの汚れが気になる」と頼んでも、彼らはプロではないのでキレイにすることができず、クレームになるという話も耳にします。
あくまで家庭でおこなう墓そうじの代行であり、墓石クリーニングはクリーニングというだけあり、汚れを落とすことが目的となっています。
墓石クリーニングには必要な段階がある
とつぜん話が変わりますが、マッサージや整体には行かれたことがありますか?
腰が痛いと腰をもみほぐせば治ると思うのが素人ですよね。
しかし、じっさいに整体に行くと、腰を最初にさわるのでなく、下半身の足からマッサージしていき、背中と身体全体の歪みをととのえてから、痛い箇所である腰の痛みをもみほぐす流れになっています。
腰をもみほぐすのは最後なので、「最初からそこをしてくれればいいのに」と思ったりするものですが、 それがプロの技なのです。
身体の歪みが整えられてはじめて、腰に効いているのであって、最初から腰を強くもみほぐしたところで、同じ効果は得られないんですね。 腰以外の部分をほぐしてから腰を触るからこそ、腰の痛みがとり除かれるのです。
じつは墓石クリーニングにも同じことがいえるんです。
気になる汚れや黒ずみだけをとった方が早くて安く仕上がるように思うかもしれませんが、頑固な汚れや黒ずみをとる薬剤は効果が強力なため、石によっては光沢を失う恐れがあります。
そのために、最初は墓石全体をアルカリ剤で中和しないといけません。
そこで、墓石全体のクリーニングをまずはじめにやる必要があります。これが整体でいうところの「身体の歪みを整える」に当たります。
そして中和されてはじめて、気になる汚れにアタックできるのです。
女性のエステを例にとると分かりやすいかもしれませんね。
洗顔をした後に、美顔器やパックなどを使って毛穴の奥の汚れを浮きださせたり、毛穴をキュッと締めたりするわけですが、洗顔をせずにいきなり美顔器やパックをやっても肌に負担がかかり、効果が発揮できません。
最初は洗顔をする。これはお顔でも鉄則です。
まとめ
「墓石クリーニング」と「墓そうじ」では、求める結果が違うがので、墓石クリーニングには段階があるぶん、墓そうじとは作業数が違い、とうぜんその料金は墓そうじとくらべてが高くなります。
価格だけを比較すると高いですが、墓そうじは少なくても毎年行おこなう必要があり、お墓のクリーニングは数十年に一回程度の頻度になるので、年単位の単価で考えるとじつはそんなに高くありません。
「墓そうじ」は目前のお墓参りのための短期のもの、「墓石クリーニング」は墓守という長期的なもの、という視点で比較していただければと思います。
整体を受けている最中に、頭の中で考えていたことはこんなことでした。