今年は驚くほど雪が少なかったので、桜の開花も早く見込めそうですが、桜といえば思い出すエピソードがあります。
もう5年前になりますが、この写真は氷見市営墓地で建立させていただいたお墓の納骨法要に立ち会った時の写真です。
奥さまをご病気で亡くされたお施主のNさま。
遺影からもお美しい奥さまであったことがわかります。
この市営墓地は、三年前に、ご夫婦で一緒に見学をして購入されました。
その頃は奥さまもお元気で、まさかその数年後にお墓に入るとは思いもしていなかったことでしょう。
生前墓でない限りは、どなたかが亡くなられてお墓を建てることになるので、Nさまのような状況の方も少なくないかもしれません。
墓地を探していたときは、ふたり。
しかし、その三年後には、おひとりでお墓を建てることに…。
それまでは、ふたりで愛でていた桜の花。開花し、咲き乱れ、散ること三度。
そして、四度目の桜の季節に、お墓が建ちました。
参道に彫られた桜が、桜吹雪のように映り、墓参者をやさしく迎えてくれます。
納骨法要では、ほとんどのお施主がお骨壷を納骨堂に納めるのを我々におまかせするのですが、Nさまにどうするかお尋ねすると「もちろん私がやる!」と答えられました。
「すぐ行くからね」
奥様のご遺骨にそっとささやきながら、納骨をされたNさま。
お墓の施工中も、施工現場にいらっしゃって、ご自身でも写真を撮られていましたが、現場で記念撮影をされたので、そのお写真と納骨法要の写真をスクラップブッキングして差し上げました。
「仏壇におさめておくね」と、目を細めて喜んでおられたのが印象に残っています。
Nさまはこのお彼岸も、今年の桜を他の誰よりも早く、奥さまと一緒に見られているのでしょうか。
愛されきって散る。
こんな想いを桜に寄せて見てみると、桜の美しさがまたいっそう際立ちます。