お墓にもその時代によってカタチやデザイン、石種に流行りのようなものがあったりします。それも墓石本体だけでなく、納骨堂や灯篭、花立や香炉などの付属物にも現れていて、当時の時代感を感じ取れることもあります。
お墓の土間も例外でなく、富山でいえば昭和中ごろから終わりごろに建てられたお墓には、玉砂利を使った土間が多い印象があります。
玉砂利の土間は張り石施工よりも安価になるメリットがあり、また独特の趣が好まれます。
しかし年月が経ってくると、
・雑草が生えてくる
・玉砂利が風に飛ばされて散らばる(時々、カラスにもいたずらされる)
・汚れや劣化
といった問題も出てきます。
そのためお墓のメンテナンスでクリーニングと土間リフォームをおこなうことはよくあるのですが、今回は今の時代にあったご依頼をいただきました。
「この玉砂利を利用できないかな?」
土間に敷いてある玉砂利を利用して、より使い勝手が良い土間にリノベーションできるかというご依頼です。
「あるものを再活用する」ことは、お墓に限らず今の時代のテーマでもあると思うので、それを次世代に継承するお墓でできるのであれば尚良いですよね。
玉砂利を再活用した洗い出し施工
ということで、玉砂利を使って洗い出し施工を土間におこないました。
この洗い出し施工も流行りがあったのか玉砂利を敷いた土間と同時代くらいのお墓に多いのですが、より高級感と和の趣が出るので個人的にも好きな施工です。土間全体を張り石施工にする場合と比較すると維持のしやすさの部分ではやや劣りますが、使っていたものを活用して生まれ変わらせる方法としてはこのようなリノベーションもあります。
墓石のクリーニング ビフォーアフター
お墓の細かい部分もキレイにクリーニングし、土間もリフォームして次世代の継承者へと引き渡したご依頼者さま。ご両親が眠るお墓ではあるものの、お墓の継承者はお客さま自身の子世帯ではなくご親戚にあたります。継承者がまだお若かったことを考慮して、これまではご自身が墓守の立場を担っておられました。若い世代がお墓を継いでいくにあたって、親戚である自分がどこまでやればいいのか悩みはあったそうですが、少しでも管理しやすい状態でお墓を引き継いでほしいとの想いが今回のリフォームに込められています。
継承者へのやさしさと、お墓に眠るご両親への想いが現れたリフォーム&リノベーション。
もともと使っていた石を利用して使いやすくするほうが、土間に新しく石を貼りなおして見違えるよりも、お客さまの想いにより近かったといえるかもしれません。