「Fukusima50」とコロナウイルスとお墓にについて―雑記

公開初日にナイターで観た「Fukusima50」

エンディングのほうで、2020年のオリンピックの聖火リレーが福島からスタートし、オリンピックが福島の復興を象徴するであろうことにふれており、今日本を覆っているコロナウイルス対策がそのオリンピック開催のためでもあることに、運命的なものを感じました。

コロナウイルス関連で、デマをふくめた情報に翻弄されている今の日本を覆う状況は、3.11後の福島第一原発の危機のときとよく似た状況にあると感じていましたが、映画をみて、その思いがより強くなった感があります。

この映画が、まさかこのタイミングで公開になるとは、映画関係者も予期しなかったでしょう。原発事故による放射能への恐怖が風評被害を生み、じっさいに今も自主避難者や帰宅困難者がいる事実など、その後の社会にも大きな影響を与えたことは、現在進行形ですすんでいるコロナウイルス対策での社会的影響につうじるものがあります。

見えない放射能と見えないウィルスの恐怖に右往左往する人たちが私たち一般人だとすれば、その見えない恐怖を、いかに「見えるもの」として、データなどを使って言語化して伝えるかが専門家なのでしょう。

見えないからわからない。
わからないから恐い。

これを理解できるように発信していく、という意味では、個人的にはBuzzFeedの発信がとても参考になっています。

「見えない」つながりで気づいたのですが、わたしたちがあつかう「お墓の価値」も見えないことが多いのではないかと思います。

お墓に埋葬されている人が見えないという意味ではなく、お墓があることの価値は、たしかに人によっては見えづらいかもしれません。

逆に、お墓があることの不都合な事実は見える化しやすい面があります。お墓を守れない事情、といったように。

しかし、人が動くのはその理由がハッキリと見えるからだけではなく、たとえばトイレットペーパーやマスクが無くなったり、高値で転売されることは、まさに「見えない恐れ」につけこんでいますし、放射能とコロナウイルスの恐怖も結末が見えな(かった)いからです。

昔は「畏れ」が、現代は「恐れ」という見えないものが人を動かしている

お墓についていえば、昔の日本人が抱いていた「畏れ」が、お墓を大事にすることにつながっていた部分があります。

ですから、見えない畏れによって、逆にお墓の価値は今とくらべて高かったともいえます。

現代は科学が発達したこともあり、畏れを抱くことは少なくなってきました。お墓に関していうと、見えないことよりも、お墓を持つ合理性といった見えることを大事にするようになったといえます。

それは、2011年当時の放射能やコロナウイルスの恐怖とは違い、非科学的な畏れの結末が恐れるに足りないことになってきた証かもしれません。

見えないこころの充足感で人が動く未来へ

人がほんとうに大きく動くのは、見えない恐怖などの負の要素のせいなのか。

たしかに、それは事実でしょう。

コロナウイルス関連でも、「感染すると重症化するかもしれない」や「マスクやトイレットペーパーが手に入らなくなるかもしれない」せいで、一斉休校や買い占めが起こっており、これは社会がじっさいに動いていることの証です。

では、人を動かしたいときには、負の要素を訴えていくしかないのでしょうか。

専門家はコロナウイルスについては「正しく恐れる」ことが大事で、一斉休校の要請については否定的な意見が多いです。マスクの効果についてはこういった検証記事もあり、手に入らないことを恐れる必要はなさそうです。

トイレットペーパーについても、現場は一生懸命に真実を伝えようとしています。

見えない不安が人を動かすのは事実ですが、では見えない期待や希望では人は動きにくいのかといえば、また違います。

「宝くじ」がいい例で、一等の当選確率は2000万分の一ともいわれ、割合にすると、0.000005%、一年間で交通事故を起こす確率が160人に一人であるので、いかにその確率が低いかがわかるのに、宝くじに夢を見る人は少なくないのです。

あまりにも非現実的な期待や希望、不安や恐れといった見えないものに振り回されることなく、すぐ手に届く満足感をつみ重ねることや、すぐそこの未来への備えをする大切さ。

それが自分たちの守りたい日常であって、それを脅かされる事態の境目にあったのが、あのときであり、今なのかもしれませんね。


そういったことを考えながら、わたしもお墓の価値について、目に見えない不安をあおることなく、非現実的な期待を抱かせることなく発信していきたいとあらためて思ったしだいです。

マスクがなくてもトイレットペーパーがあと半ロールしかなくても、こころを満たすことができるように。

こころを満たすお墓の存在を物語にして、あなた自身の小さな物語も書きこめる手帖をつくりました!

https://e-isiyasan.com/ohakanotecho/

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