娘を生まれてはじめて美容室に連れていったときの話。
娘の髪の毛は、子どもということもあってか、細くからまりやすいので、美容院当日も髪の一部分がスズメの巣のような状態になっていました。
当時、まだ小学生になったばかりで、髪がからまるのは、長く伸びた髪に洗い残しがあるせいかと思っていたところ、美容師さんによると、原因はシャンプーではなく、もっと基本的なブラッシングとヘアドライにあったのです。
「寝る前に髪を乾かして寝ないと、枕との摩擦でからまりやすく、一度からまったものはブラッシングしないとほどけないですよ」
てっきりお湯で何とかすればほどけるものと思っていましたが、ここまでからまるといくらお湯で洗ってもどうにもならないそうです。
ということで、ブラッシングと濡れた髪をちゃんと乾かすという基本的なお手入れの大切さを学んだのですが、なぜそのブラッシングとヘアドライを軽んじてきたのかというと、実はある理由があったのです。
それは、「髪は、手入れをせずに自然に任せていたほうが傷まない」という思いこみでした。
なぜなら、ブラッシングの摩擦やドライヤーの熱は、髪の毛のキューティクルにダメージをあたえるものだと思っていたからです。
髪は自然乾燥が一番!と思っていたのですが、調べてみると、どうもそうではないのです。
水分を含んでいるときの髪は、キューティクルが開いている状態なので、早くキューティクルを閉じ込めてあげるほうが、広がりを抑えられ、髪のツヤを取り戻せるんですね。
「出典:【自然乾燥で髪は傷むのか!?】シャンプー後に髪は「ドライヤーはすべきなのか」について」
これは、墓石の石にもいえることですが、たとえば大きな樹や建物の影になる場所など、水分がなかなか乾きづらい墓地に建っているお墓とそうでないお墓では、墓石の汚れや墓そうじの大変さが大きく違ってしまいます。
墓地の立地はどうしようもない部分がありますが、普段のお手入れが行き届いているお墓と、めったに掃除しないお墓では、経年変化にも違いがでてしまうのです。
雨に含まれるたくさんのバクテリアと細菌
墓石の石の最大の敵は「水」です。
しかも、雨水にはたくさんの目に見えない異物が含まれています。土壌の微生物は大気中に巻き上げられ、雨粒となって降ってきます。ただの水道水が降ってくるならまだしも、雨はキレイな水ではないので、これを放っておくことが墓石の黒ずみなどの汚れの元になっていきます。
しかし、墓石も下手に手入れするより、自然にまかせておいたほうが良いのでは?と考える人もいるかもしれません。たしかに、下手に手入れして、傷をつけてしまう例はあります。
それは髪も同じで、ブラシの種類や使い方を間違えば、ブラッシングそのものも髪に良くない場合があります。
そのためにも正しい方法を知ることが、髪も石も大切に長持ちさせられるという点ではよく似ているのです。
墓石の正しいお手入れ法
髪も石もそうですが、たわしなど目の細かいものでゴシゴシと強い摩擦を与えるのは避けましょう。
墓石はまず水洗いをして、付着している汚れを流します。そしてスポンジに水を含ませ、汚れを落としていきます。
最近ついた汚れであれば、これである程度は落ちます。
墓石に彫られている文字の中などの細かい汚れは、歯ブラシを利用してこすります。
香炉の金具は外して洗います。固まったロウの落とし方は、下記の記事をご参照ください。
最後は乾いたタオルでふきましょう。
天気が良く気温も高い日であれば、そのまま自然乾燥でも大丈夫ですが、乾きにくい日や日陰になる墓所の場合は、水分をしっかり取り除きます。
長年の頑固な汚れはプロに依頼!
ただし、ここまでしても落ちない汚れがあります。それが水垢による黒ずみです。
もうこれは頑張るだけ時間のムダと割り切る方が良いでしょう。
プロによる墓石クリーニングで、一度長年の汚れを落とし、その後のおそうじをラクにするのも一つの考え方です。プロの力を借りることが、後々の墓のメンテナンスを大きく左右していきます。
髪もお墓も長い友だち
髪と墓石のお手入れに共通点があったことをご説明してきましたが、髪もお墓も長くおつきあいするものだからこそ、正しいお手入れをして、いつまでもキレイにしておきたいものですね。
ほんのちょっとお墓に意識が向くきっかけになり、いつまでもお墓をキレイに保っていただける助けになれば幸いです。